声優インタビュー
声優インタビュー Approaches the Voice Actress
出典『アイドルマスター ディアリースターズ デリシャスアルバム』(2009年11月18日発行)
ゲーム・攻略本発売から5年が経ち、ディアリースターズに関する新しい公式情報はありません。
しかし、他作品へのゲスト出演などで最近になって興味を持つ人が一定数出ている状況です。
そのような方にとって、開発状況を知る貴重な一次資料が、今となっては入手が困難になった
攻略本だけで埋もれているのは損失なのでテキスト部分だけでも補完したいと考えました。
戸松遥(Haruka Tomatsu) / 日高愛 役
――愛を見たときの第一印象を教えてください
戸松:第一印象は、明るく元気な女の子ですね。最初に愛ちゃんのイラストや設定をいただいたときに、
私の頭の中にパッと浮かんだ演技の方向性のようなものが、最後まで大きくブレることがなかった
キャラクターです。とにかく元気で明るくて、でもちょっと抜けてるところもあって(笑)。
――たしかに、愛は元気ですね
戸松:元気です。そして声が大きいです!よく絵理ちゃんを大声で驚かせてしまうシーンがありましたけど、
愛ちゃん的には普通で、まったく悪気はないんですよね。愛ちゃんらしくって心がけて演技をしていたら、
自然とそうなりました。
――そういえば、愛は気分が落ち込むときでも声が大きいままでした
戸松:あまり声が落ち込み過ぎないようには気をつけていました。たとえば、普通の人が落ち込むレベルの
声で愛ちゃんが話すと、愛ちゃんではなくなってしまうと思ったんですよ。 小さくて暗い声で話す愛ちゃんは、ちょっとそれはタダ事ではないというか……重すぎる~シーンになってしまうので。
――戸松さんは、そんな明るい愛と似ているところがあったりしますか?
戸松:そうですね。比較的、共通点が多いキャラクターです。私も声が大きかったり、会話するときに人との
距離感を無視してしまうことがあるんですよ。目の前に相手がいるのに、声を張ってしまったり(笑)。
それに緊張してしまったときのテンパり方などは、愛ちゃんと似ているかもしれません。
――愛はショックなことがあると泣いて気分転換していますよね
戸松:私も同じです。「わー!」って、いったん落ち込んでから「よしっ!」って気分を切り替えたりします。
愛と同じで、ショックなことをあまり引きずらないで立ち直るんですよ。
――そんな愛も、終盤はママとの戦いでかなりヘコむ場面がありました
戸松:愛ちゃんの中のいちばんのライバルはママなんですよね。それまでにも名だたるライバルたちと
競ってきているんですけど、やっぱり愛ちゃんにとって、ママは特別な相手で……。
そのあたりを表現できるようにと心がけながら、お芝居させてもらいました。
――では愛がママと戦うことになるという展開を知らされたときは、どう思いましたか?
戸松:最初から「きっと最後に戦うのはママなんだ」と思っていたんですよ。
だから、最後にママと戦う場面では、愛のいちばん強い部分を出そうと決めていました。
――序盤から順々に収録していったんですね
戸松:そうですね。もちろん脇道に逸れる場面もあるんですけど、全体の大きな流れについては、
いつも意識するように心がけて演じさせてもらっています。
――では楽曲についてお伺いします。収録したものの中で、印象深い楽曲などはありますか?
戸松:『アイマス』の歌って、どれも好きなんですよ。お仕事のまえに、収録する歌のCDをいただいて
聴いたんですけど、どの曲も本当に素敵だな~と。アップテンポの曲もあれば、「ALIVE」みたいな
バラードもあったりするので、楽しく歌わせていただきました。
――歌いやすかった楽曲などはありますか?
戸松:アップテンポの曲のほうが歌いやすかったです。「GO MY WAY!!」とか「キラメキラリ」とか
「“HELLO!!”」とかの勢いのある曲は愛ちゃんとして歌うので、やりやすいんですよ。
とにかく聴いてくれた方が元気になれるような歌い方を心がけていました。
うまいとかヘタとか関係なしに勢いでバーン!と(笑)。
――では逆に「ALIVE」などは大変で?
戸松:「ALIVE」は苦労しましたね。設定的にも、もともとは愛ちゃんのママの曲なので、
愛ちゃんっぽい曲調ではないですし。
――荘厳な曲ですよね
戸松:愛ちゃんにとっては特別すぎる曲なんですよ。それに、ほかの曲のように勢いで乗り切れる
曲ではないので、歌い方では悩みました。愛ちゃんっぽくすると難しいけど、
あまり素の私になってしまってもいけないですし……。
現場のスタッフさんと話し合いながらの収録でしたね。
――ところで、JCBホールのライブに出演されましたが、やはり緊張しましたか
戸松:めちゃくちゃ緊張しました。あんなフリフリの……花澤香菜いわく「鯛のウロコ」な衣装を
着たことなんてないですし(笑)。何かしらの役として衣装を着るというのならまだ大丈夫なんですけど、
私自身が、戸松遥が着ると考えてしまうと、もうすっごく恥ずかしくて……。
――大きく動けていましたし、あまり緊張してるように見えませんでしたが?
戸松:本当ですか?それならよかったです。でも私は、緊張すると動きが大きくなるみたいなんですよ。
それでムダに体力を消耗するんです(笑)
――それでは最後に、本作を遊んでいるファンへのメッセージをお願いします
戸松:愛ちゃんは私と似ているところのある女の子ですけど、私の好きなものが愛ちゃんのシナリオに
出てきてたりするんです。サメとか。
――サメですか?(笑)
戸松:語ると長くなるんですが……サメの生態に詳しいんです(笑)。とにかく、愛ちゃんのシナリオには、
私に関わるネタも隠されているので、お気づきにならなかった方は、ぜひもう一度プレイして確認してみてください(笑)。
あと「ALIVE」のフルバージョンのCDは、アイドルとして成長した愛ちゃんとして収録させていただきましたので、
そちらのほうも、ぜひ聴いてくださると嬉しいです。
――ありがとうございました
(2009.9 エンターブレインにて)
花澤香菜(Kana Hanazawa) / 水谷絵理 役
――絵理を見たときの第一印象を教えてください
花澤:そうですね……おとなしそうで知的な感じの女の子に見えました。あと、私は幼い女の子を演じさせて
もらうことが多いので、最初は、愛の役で呼んでいただいたんだと思ったんです。でも実際には絵理で、
3人のなかではお姉さんっぽい外見の子だったから、嬉しいなって。
――絵理はパソコンやネットにとても詳しい女の子ですね
花澤:台本を見ながら、わかる範囲では調べたんですけど、わからない単語は梶岡さんに聞きながら
喋っていました。ネット用語のようなカタカナ語とかは知らなかったので……。
――むしろパソコンは苦手ですか?
花澤:ダメですね~。それでも家族の中では、まだ私はパソコンに明るいほうなんです。
何か調べ物があったりすると、私が代わりに調べたりします。
――もしかすると、電化製品とかも苦手ですか?
花澤:私の家では、掃除機とか洗濯機とかが壊れてもそのまんまにしておくんですよ。
――そのまんま?
花澤:電化製品が壊れたら、修理とかもせずに、そのまんまなんです。私が新しい製品を買ってくるまで、
みんな壊れた製品のことを忘れたように生活しているんです。
使えなければ使えないで、どうにかなるだろうって(笑)。
でも、絵理みたいな子は、パソコンがないと生きていけないと思うので……私とはだいぶ違いますね。
――絵理は携帯の電波が死活問題になりますしね
花澤:あっ、その感覚はちょっとわかります。携帯が手元にない不安感のようなものは、私もありますよ。
絵理が南の島へ行ったときの話ですよね。そういえば、愛ちゃんたちとスモウをしたことを覚えています(笑)。
――では改めて、花澤さんに絵理と似ているところはあったりしますか?
花澤:私もちょっと人見知りの部分があるので、人前で、どうやって喋っていいのかわからなくなってしまったり
……そういうところは似ているかもしれません(笑)。
――絵理は、喋り方が特徴的ですよね
花澤:そうなんです。語尾によく疑問符がついているので、最初はどうやって喋るのか迷いました。
あと「ひぅ!」って絵理がよく言うんですけど、同じ「ひぅ!」が出なくて……安定するまで、
梶岡さんと試行錯誤していました。
――「ひぅ!」に代表されるように、絵理はオドオドしたところが目立つキャラクターですね
花澤:最初はサイネリアぐらいしか会話できないんですけど、慣れてくると愛にツッコミを入れたり、
自分でボケたりもするようになるんです。きっと、あの3人でいるときには、気を緩めることができるように
なったんだなって思いながら演じていました。
――楽曲についてお伺いします。収録したものの中で印象深い楽曲はありますか?
花澤:「エージェント夜を往く」は。曲を最初に聴かせてもらっときに「これはなんじゃい!」と思いました。
――な、なんじゃいとは?
花澤:難しいなって。でも収録の前にカラオケで歌ってみたら、意外と歌いやすくて、本番でも気持ちよく
レコーディングはできたんです。
――そのカラオケは、ひとりカラオケで?
花澤:ひとりカラオケです(笑)。昔は恥ずかしかったんですけど、最近できるようになったんですよ。
でも、ちょっと入りづらいので、平日の昼間とかに入るようにしています。
――『アイマス』の歌は、ほとんどカラオケに入っていますよね
花澤:入っているんですよね~。「“HELLO!!”」も早くカラオケで歌いたいです。
――あとは、やはり絵理といえば「プリコグ」のことをお伺いしておきたいんですが?
花澤:大好きな歌です。最初に曲をもらったときには、まだ絵理の歌だと知らされていなかったんですけど、
その時点から「プリコグ」は好きでした。梶岡さんに「気に入った歌はある?」と質問されて……
私は「プリコグ」が好きだから早く歌いたいですって言ってました。
――それは運命的ですね
花澤:フルバージョンがCDに収録されているので、ぜひ皆さんにも聴いてもらいたいです。
――ちなみに5月には戸松さんとJCBホールのライブに出演されましたが、やはり緊張しましたか?
花澤:ものすごく緊張しました!!(笑)。人前で「“HELLO!!”」を歌うのも初めてですし……。
出番までは戸松とふたりで「オナカいたい」って言ってました。
――いかにもアイドルっぽい衣装でしたね
花澤:あんな衣装、着たことないですよ!コスプレとかはしたことありますけど、あの衣装は強烈でした。
採寸していただいて、私用に作ってもらって……。
――花澤さん専用の衣装なんですね。じゃあ、また着ないともったいないですよね?(笑)
花澤:くぅ~!そ、そうですね……き、機会があればッ!
――それでは最後に、本作を遊んでいるファンへのメッセージをお願いします
花澤:もう絵理ちゃんを遊んでクリアされた人もいると思うんですけど、オーディションで負けてシナリオが
横道に逸れると、いろいろな絵理ちゃんが見られます。ちょっと、かわいそうな場面もあるんですけど……
よかったら、いろいろ見てもらえると嬉しいです。それから、皆さんのご声援次第では、
また876プロの3人で活動できるかもしれないので、ぜひ応援よろしくお願いします。
――ありがとうございました。
(2009.9 エンターブレインにて)
三瓶由布子(Yuko Sanpei) / 秋月涼 役
――涼を見たときの第一印象を教えてください
三瓶:すごくカワイイので、この子がどうやって男の子になるんだろうって思いました。
――最初から男の子だということは知らされていたんですか?
三瓶:すぐに教えてもらいました。まず絵を見せていただいて「これから私は、このカワイイ女の子を
やらせてもらうのか!」ってドキドキしていたんですけど、直後に涼ちゃんは男性なんだよと教えてもらって
「なるほど!だから私が呼ばれたのか!」って(笑)。でも「あのカワイイ顔で男の子だと、
声はいったいどうしたらいいんだろう?」という、ちょっとした戸惑いはありました。
――涼は、自分の置かれた状況によって声のトーンが変わりますよね
三瓶:声がコロコロ変わるのは、梶岡さんのこだわりもあります。涼ちゃんは、男の子なのに男の子に
好かれるぐらいなので、あまり男らしくはしていないんです。ただモノローグの部分などは、涼ちゃんの
本心を語っているところですから、涼のなかではいちばん男っぽく喋っています。
逆に誰かと会話する場面では、相手によって立ち位置を確認しながら、ひとつひとつ慎重に収録させていただきました。
――演技の際に気をつけたことは?
三瓶:涼ちゃんは、最初のうちだと、がんばって女の子の自分を作っているんですけど、中盤になると
女の子でいることに慣れてきてしまっているので、素のままで女らしく喋れてしまうようになってしまって(笑)。
そして終盤になると男らしさが涼に足されているので、声もいちばん男っぽくなったり……。
とにかく、場面ごとに「今の涼はどんな心境?」と考えながら演じていました。
――エンディングによっては、涼が完全に女の子になりきってしまう場面がありますよね
三瓶:どんなに女の子としてアイドルをしていても、心の片隅には自分は男の子だという思いが残って
いることを心がけて演技していました。でも、あのエンディングでは、そのあたりが壊れてしまっているので、完全に女の子として喋ってましたね。「りゅんりゅん!」とか(笑)。
――女装アイドルならではの、きわどいセリフもおおいですね
三瓶:収録しているときは、普通に感じていたものが多いんですよ。でも実際に自分で遊んでみると、
けっこうすごいセリフがあるんですよね。
――収録から時間が経っているから、セリフが新鮮なこともあるんでしょうか?
三瓶:それはあります。自分が喋った記憶はあっても、それが選択肢として出てくると「どれがいいんだろう?」
ってわからないことが多くて……すぐに電源を切っちゃいます(笑)。
――邪道プレイですね!!
三瓶:邪道なんですか!?間違ったらすぐにやり直してましたよ。そのために細かくセーブできるんだと思ってました(笑)。
――ちなみに遊んでみた感想などは?
三瓶:これレッスンが難しくないですか?いちばん苦手なのはダンスレッスンなんですけど、それ以上に
ボーカルレッスンでAが取れないことがあると、すごく悔しいんですよ。自分で歌ってる曲なのにッ!
――ちなみに三瓶さんは、涼と似ているところがあったりするんでしょうか?
三瓶:似ているところですか……。私はテンパっても「ぎゃおおおおん!」とか言わないです(笑)。
――涼といえばそれですね!
三瓶:シナリオに書いてあったのをそのまま叫んだら、ああなりました。「きゃー!」とかじゃなくて
「ぎゃおおおおん!」ですからね。この文字をしっかり表現したいなって。
「お」が小さい「ぉ」ではないので、力強く(笑)。
――涼はテンパっているシーンが多いですね
三瓶:よく夢子ちゃんにオモチャにされていますよね。いや~夢子ちゃんはいいですよ!かわいいです!
今後もまた涼を演じることがあるなら、夢子ちゃんにも出てきてほしいですね。
――さて、「Dazzling World」についてもエピソードをお伺いしたいのですが?
三瓶:「Dazzling World」はCD用にフルバージョンも収録したんですけど、それを聴いたら恥ずかしくなっちゃいました。
――恥ずかしい?
三瓶:歌詞が、すっごく甘いんですよ。もう赤面しちゃいます。涼も量も、なんてピュアなんだろうと(笑)。
――ほかの楽曲でも収録時のエピソードなどがあれば教えてください
三瓶:収録が大変だったのは「ALIVE」です。あと、テンポの速い曲が大変でしたね。「キラメキラリ」は 収録が大変だったので、これをライブで歌ってる仁後さんはすごいな~って。
――ライブと言えば、今後『アイマス』でステージに立つことがあるかもしれませんね!
三瓶:あの、花澤香菜ちゃんが「鯛のウロコのよう」と称した衣装ですか……。とりあえず、皆さん、
涼ちゃんが着ている衣装で楽しんでください(笑)
――それでは最後に、本作を遊んでいるファンへのメッセージをお願いします
三瓶:涼ちゃんはもちろんカワイイんですけど、愛も絵理もカワイイですし、ぜひ3人とも好きになってくれると
嬉しいです。あと、夢子ちゃんとか。……とにかく魅力的なキャラクターがたくさんなので、ぜひ余すところなく
遊んでもらいたいなって思います。あ、あと涼のCDもよろしくお願いします!
――ありがとうございました
(2009.9 エンターブレインにて)